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SISIFILLE 10周年座談会 ―オーガニックコットンが繋いだ、10年の物語とこれから―

2015年に生まれたSISIFILLEは、オーガニックコットンの “やわらかさの価値” を信じながら、10年の道のりを歩いてきました。
ブランドの前史となるパノコトレーディングの物語、誰も挑戦していなかった生理用ナプキンづくりの裏側、そして2022年のリニューアル。
揺れ動く時代の中で、変わったことと、変わらずに大切にしてきたこと。
過去を振り返りながら、これからのSISIFILLEについて、メンバーがゆるやかに語り合います。

SISIFILLE、はじまりの前の物語

―SISIFILLEができたのは、偶然が重なっただけのようだけど、もしかしたら必然だったのかもしれない。(三保)


道端
「SISIFILLEのはじまりを語るにはまず、運営会社であるパノコトレーディングのことを話さないといけませんね。」

三保
「そうですね。会社自体の設立は1987年。当時は、会社名の通り主に貿易に関わる事業をしていました。船舶燃料、食品、とにかくなんでも。オーガニックコットンを扱い始めたのは1992年。最初はアメリカのオーガニックコットンでした。」

パノコトレーディングの代表でもある、SISIFILLEブランドマネージャーの三保

三保
「当時、別の仕事でアメリカに住んでいた宮嵜さん(日本オーガニックコットン流通機構顧問)が、偶然出合ったオーガニックコットンに感銘を受けて『すごく良いものだから、日本でも広めたい』と言って、アメリカから持って帰ってきたのがきっかけです。だけど当時、“オーガニックコットン”はおろか“オーガニック”という言葉自体、日本ではほとんど知られていなかった。まずは市場開拓のために、世の中にオーガニックコットンの製品を流通させることをやらなきゃいけなかったんです。タオル、寝具、洋服、ぬいぐるみ、コットンで作れるものは何でも作っていました。」

現在も生地・糸を販売する事業が主であるパノコトレーディング。打ち合わせスペースには生地の見本がずらりと並ぶ。

三保
「私が入社したのが2007年で、そのくらいの時期から、少しずつオーガニックコットンを使った製品が世の中に流通するようになってきて。それならば我々は、得意な原料に特化していこうと、製品から糸や生地へ、ぐっと舵を切りました。」

森田
「そこから原料屋として今の主な事業に繋がってくるのですね。その後、SISIFILLEができたのが2015年。原料でなく再びお客さまが実際に使う製品を作ることになったのは、きっかけがあったのですか?」

三保
「当時の社長が、新しいことをどんどんやっていこうっていう気概のある人で。新しく見つけてきたいろんな製品のサンプルが、袋に入れて物置にドサッと置いてあったんです。当時働いていた女性スタッフが産休から復帰したばかりで、彼女がそのサンプルの山の中から使い捨てナプキンを見つけてきて。社内的にも新しいことをはじめたいという機運が高まっていた時期だったこともあって、企画がスタートしました。」

発売当時のSISIFILLEの生理用ナプキン

三保
「我々の生地を使って布ナプキンを作ってくれているブランドさんもいるし、オーガニックコットンの不織布を使うとはいえ、使い捨てで、さらには表面のトップシート以外はオーガニックとは全く関係のない素材を使う。オーガニックコットンを扱っている会社として、『本当にやるべきなのか?』っていう葛藤も、少なからずあったと思います。でもそんな中で、立ち上げを担った女性スタッフが布ナプキンと出合って、一方でその不便さも感じていた。彼女の実体験がなかったら、使い捨てのものを我々が作ることはなかったと思います。SISIFILLEができたのは、偶然が重なっただけのようだけど、もしかしたら必然だったのかもしれないと、今は思います。」

森田
「オーガニックコットンを使った生理用ナプキンはSISIFILLEが日本で初めてだったんですよね。」

三保
「そうですね。前例がなかったので、工場としてはリスクもあったと思います。そんな中で10年も一緒にものづくりを続けて来られたことは、本当にありがたいことですよね。」

道端
「技術的にも挑戦がありましたよね。SISIFILLEはタンザニアのbioReプロジェクトで生産される、単一品種のコットンだけを使っているから、一定の品質を保つのがとにかく難しい。一般的なオーガニックコットンの製品では、いろんな産地の品種のコットンを混ぜるから、均一化される。ただSISIFILLEの場合は、例えば『今年のコットンは繊維が短い』となったとしても、他の安定したコットンを混ぜることはしない。それが、こだわり故の難しさですね。」

bioReプロジェクトを主導するREMEI社のサイモン・ホフマン社長と三保。SISIFILLEではタンザニアとインドで展開されるbioReプロジェクトでつくられるオーガニックコットンを使用していて、定期的にコットン産地を訪ねている。

三保
「そうですね。ナプキンを作ること以前に、“コットン産地の支援”っていうのが我々の目的の一つであって、こだわらなければいけないところでしたからね。苦労もあったけど、出来上がったナプキンを持って展示会に出た時に、結構な反響があって。世の中にニーズが顕在化していなかっただけということを、初期の段階で実感できた。『やっぱり、そうだったんだ!』って改めて感じました。」

SISIFILLEでは売り上げの一部をbioReプロジェクトを通じて、井戸や学校の建設などコットン産地のインフラ整備などに寄附している。


変わるためではなく、大切なものを確かめるためのリニューアル

―今一度、『自分たちが本当に世の中に届けたい価値ってなんだろう』ってことを、考え直すきっかけになったと思う(三保)

―『世界をやわらかくする』と言葉にしたことで、SISIFILLEがどうあるべきか、悩まずに前に進むための指針になった(道端)

 

WEBサイト運営や製品の企画・生産管理など、バックオフィスを担当する道端

道端
「私が入社したのが2018年で、その頃から“フェムテック”という分野が注目を浴びて、メディアでも取り上げられるようになってきた印象でした。一度下火になったものの、コロナ禍でまた自分自身のケアに目がいくようになったのか、この数年で改めて取り上げていただく機会が増えたように思います。ちょうどコロナで緊急事態宣言の真っ只中に、ブランドをリニューアルしたんでしたね。」

三保
「2022年でしたね。コロナ禍で、みんなリモートで、リニューアルに向けて、1年くらい侃々諤々と議論しましたよね(笑)今一度、『自分たちが本当に世の中に届けたい価値ってなんだろう』ってことを、考え直すきっかけになったと思う。」

道端
「ものづくりをしていると、『私たちが作れるものや、私たちが持っている技術で、何ができるか?』と考えてしまいがちですけど、リニューアルに向けて話し合っていたあの時、『お客さまが何を求めているのか?』をずっと考えていました。」

営業やSNSなど、外部とのコミュニケーションを担当する森田

森田
「私はリニューアル後に入社しましたが、『一人ひとりの心がやわらかくなれば、世界はきっとやわらかくなる』というメッセージに共感しました。それまでは可愛らしいパッケージのナプキンブランドというイメージを持っていましたが、使う人はもちろん、作り手や地球環境も含めた“世界”を見据えていることが伝わってきて、『私もこのブランドに参加して多くの人にオーガニックコットンの魅力を広めたい!』と思ったことを覚えています。」

三保
「リニューアルに至ったのも、パッケージを変える話が最初挙がって、それをきっかけにブランドを改めて見つめ直すことになったんでしたよね。ブランドの骨格となる何かが必要だと、きっと感じていたんだと思う。」

道端
「目指しているものはブランド立ち上げ当初から変わっていなかったけど、あの時『SOFTEN THE WORLD(世界をやわらかくする)』と言葉にしたことで、SISIFILLEがどうあるべきか、悩まずに前に進むための指針になったと思います。」

“やわらかさ”が繋いでいく、SISIFILLEのこれから

―生理そのもののあり方が変わったとしても、一人ひとりのお客さまとのご縁がずっと続いて欲しい(森田)

―「“オーガニックコットンのやわらかさ”で、“何か”を変えたい」っていう思いが、スタッフそれぞれの中にあるから、SISIFILLEは続いていく(道端)

道端
「この数年はPOP-UPを積極的に開催したり、お客さまと直接関わる機会も増えましたけど、もっとそんな場面が増えるといいですよね。ブランドやアイテムに対して、思ったことをどんなことでも気軽に伝えてもらえる、お客さまとの相互関係を作っていきたい。作り手との繋がりを感じてもらえれば、そういうことも、もっと自然と起きていくんだろうな。そこが、次の10年の課題ですね。」

三保
「今年で10年、この先の10年、どう変わりますかね。そもそも、20年続くブランドってすごいことだけど。」

森田
「10年後、41歳の自分は想像できない…。そう考えると、10年って長いですね。もしかしたら、生理そのものが変わっているかもしれませんね。副作用のない薬が開発されたり、新しい避妊の方法が一般的になっていたり。10年前も、月経カップやディスクって身近じゃなかったですもんね。10年後は、SISIFILLEのナプキンも形が変わっていたりして??生理のあり方が変わったとしても、生理があるなしに関わらず、一人ひとりのお客さまとのご縁がずっと続いて欲しいです。」

道端
「一生に寄り添えるブランドでありたいですよね。」

道端
「SISIFILLEができて、私が入って、立ち上げを担ったスタッフが三保さんだけになって、森田さんが入ってくれて。人が変わっていく中で、もちろん見え方や伝え方が変わったりはするけど、SISIFILLEの根っこの部分は変わっていないと思うんです。それって、『“オーガニックコットンのやわらかさ”で、“何か”を変えたい』っていう思いが、スタッフそれぞれの中にあるからじゃないかなって。“何か”はそれぞれ違うかもしれないけれど、それさえあれば、人が変わろうと、見え方が変わろうと、売るものが変わろうと、SISIFILLEは大丈夫。ずっと続いていくんだろうなって、思っています。」

 

 

Photo : Takayuki Nagao(No1-9,11,12)
Text&Edit : Mami Michibata

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