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自分らしく生きる働き方 / 加藤寛子さん

彼女が日本を出て海外での暮らしを始めたのは20歳の時。そこから約26年の間に様々な場所に移り、色々な職種を体験してきました。現在、「HATAGUCHI COLLECTIVE(ハタグチコレクティブ)」という自身のステーショナリーブランドを運営する一方で、アパレルブランドのビジュアルマーチャンダイザー(以降V M D)、スタイリスト、コディネーターと多方面で生き生きと活躍する彼女。その仕事へ向ける情熱や考え方には、『自分らしい生き方』に繋がるヒントがたくさんありました。

ー自分の性格や環境が今の私を作り上げた

もともと物を観察したり研究したりする事が好きなんです。一つのものに興味を持ったらとことん突き詰めるタイプ。VMDの仕事でも、他のお店のVMDの仕事を見ながら自分なりに学んできました。またハイブランドのアパレルに勤めていた頃、そのブランドの大御所の方達に叩き込まれたジーンズの畳み方ひとつをはじめ、色々な知識や経験からは多くの学びを得る事ができました。それらは私のビジネスに対する姿勢の基礎となっています。

また幼少期の環境も、今の私を作り上げた一つの要因になっていると思います。私の祖母はお茶とお花の先生をしながら暇があれば私の洋服を作ってくれ、母は刺繍がとても上手な人でした。2人とも常に手を動かしている女性でしたね。家にはいつもお花が飾られていたり、成熟したハンドメイドに触れさせてもらえる機会が多かったりした環境で育ったので、自然とハンドメイドやアパレル関係に興味を持つようになったのかもしれません。

サンフランコで暮らすまで
今までの全てが繋がり、通じている

留学生としてサンフランシスコ・ベイエリアの短期大学へ入学した事が、アメリカに来るきっかけでした。その後バーモンド州の大学へ編入し、卒業してからはニューヨクやカリフォルニア、日本のアパレルで主にV M Dとして14年ほど働いてきました。その後夫の故郷シンガポールに住んでいた期間は、フリーランスとしてインテリアデザイン関係の仕事をしていました。その頃、旅行先のインドで出会った伝統的なハンドメイドのコットンペーパーに心惹かれ「HATAGUCHI COLLECTIVE」というステーショナリーブランドを立ち上げました。
HATAGUCHI COLLECTIVEについての記事ははこちらから

そして、シンガポールで時間に余裕のある暮らしをする中で子供を授かりました。永住権があるアメリカ、在住しているシンガポール、そして私の母国日本。どこで子育てをしながら暮らすのが良いのかを夫婦で話し合い、2人ができる限り対等に、近い視野を持てるアメリカに戻って暮らす事に決めました。
現在はサンフランシスコベイエリアに戻り「HATAGUCHI COLLECTIVE」を運営しつつ、バークレーにあるアパレルブランド「ERICA TANOV(エリカ・タノヴ)」でVMDとして働いています。また、スタイリストやコーディネーターとしても時々お仕事をいただいています。

今まで様々な地に移り色々な職を経験し、現在もパラレルな働き方をしているので、一見バラバラな事をやっている様に見えるかもしれません。しかし、結果的にそれぞれの仕事が他の仕事に通じている部分があると実感しています。
VMDでの経験があるからこそスタイリングの仕事でもそのスキルが活かせたり、ブランド運営で培った人との接し方がコーディネーターの時に役立ってくれたりと、それぞれに相乗効果をもたらしてくれています。

ー人との繋がりを大切にして働く

ビジネスの上で一番大事にしている事は、一緒に働いてよかったと思ってもらえるような働きをする事です。何かご縁があるから出会えたのだと思いますし、人との繋がりは大切にしたいですね。
コーディネーターの仕事でいうと、日本から来た人とアメリカで暮らす人との間に入る際には、いつも両者の立場になって考え、進めて行く事を心がけています。ビジネスの面でも文化の面でも、両者を尊重しどちらにとってもフェアな立場でありたいと思っています。そして、仕事をするという視点ではなく、人として気持ちよく時間を共にするという考え方を持つようにしています。

多用的に働くという自由がもたらしてくれるもの
自分らしく働くという事

今は日本でも一つの企業に属するだけではなく、副業やフリーランスなど様々な働き方が認められてきていると思います。その風潮は「自分はこんな事が出来るかもしれない!」という可能性を模索するチャンスだと思うので、枠にとらわれずもっと自由に視野を広げてみると良いのではないかと思います。趣味ではじめた陶芸が仕事になった……くらいの自由さやカジュアルさは、フレキシブルな人生観を見せてくれると思います。

私は色々な事を経験して、今になってやっと「自分はプロジェクトマネジメントが得意なのだ。」と気づく事ができました。スケジュール管理の面などで大変な事はありますが、一つの事をコツコツ極めるよりも、仕事でも子育ての面でも、あらゆるプロジェクトに携わってマルチタスクをこなす方が好きです。オフィスでずっと座って働くより、現場で体を動かして働いている方が自分の性に合っていますね。
またそんな自分の得意分野を活かした働きの中で、何事にも愛情を込め熱心に取り組んで行きたいと考えています。仕事が増えて外に出る機会が多くなると、子供たちや家族と過ごす時間が少なくなってしまうのが心苦しいですが、軽やかに、バランスが取れた生活ができるといいなと思います。
私にとっての自分らしさとは、『好き』の部分を見失わず、自分のペースで働いて行く事なのかなって思います。

ー今できる事を見失わない事が好きに繋がる

Stay on the same tree.(同じ木に留まりなさい。)」という言葉があります。これには、やっている事が枝分かれするのは良いけれど同じ木の上で行う方が良いというメッセージが込められています。色々と事業を広げたり関心を広げたりしても、同じ木の上であれば最終的に全てが繋がるものだと考えています。

そんな中で色々な仕事をしてきましたが、「今しか出来ない事はなんだろう。自分が本当にやりたい事はなんだろう。」と考えた時に、私の中ではやっぱりVMDの仕事が一番だったんですよね。最近ではVMDの仕事を優先して、今働いている「ERICA TANOV」では、上がってきた商品を販売するまでのあらゆるケアやオペレーションに携わっています。力尽きて外で仕事が出来なくなった時、最後まで自分が好きな事をしていたいという気持ちがあります。やっていて良かった、と思える仕事をしていたいです。
そのためにも、『今できる事』を見失わずに同じ木で枝を広げ続ける事が、自ずと自分の『好き』につながって行くのだと思います。

■ 加藤寛子 / HATAGUCHI COLLECTIVE主宰

インドの紙職人・版画家による伝統的な手法を使った手仕事に魅せられたことを機に、2012年ステーショナリーブランド「HATAGUCHI COLLECTIVE」を設立。洋服などが作られる際に廃棄されてしまう残り布を上質な紙にアップサイクルし、インドの伝統的な技術と自身のアイデアで新しい紙の可能性を追求している。ブランド名は母方の祖母の苗字「畑口」に由来。

現在はカリフォルニアを拠点に、ショップの内装や店内のレイアウトなどを手掛けるVMDとして、さらには撮影コーディネーターやスタイリストとしても活動中。

Photo : Ai Sugano (No.1-4,6-9)  
Text&Edit : Miyuki Watanabe
Location:@ericatanov
Interview:cumi

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