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選択肢が広がる妊娠期、出産こそ自分らしく ー水中出産を通して感じたことー Mao Brazilさん

モデルとして活躍する傍ら、食に対する関心からケータリングサービスを始動。現在は、ヘルスケアブランド「HARVEST SPOON」を運営しながら、ローカルオーガニックとヴィーガンをコンセプトにしたジュースバー「COSMOS JUICE TOMIGAYA」を立ち上げるなど、一貫して心と身体の「well-being(ウェルビーイング)」を追求するMaoさん。そんなMaoさんは、昨年の10月にハワイ島にて水中出産し、現在一児の母でもあります。前編の今回は、自身の生い立ちからパートナーとの出会い、妊娠、そしてハワイでの水中出産について。これらの体験とMaoさん自身の向き合い方について伺いました。

ー大阪で天真爛漫に育ったMaoさんがスポーツを通してパートナーと出会うまで

自分の子供時代を振り返ると、屋内で遊ぶより、外へ出かけて男の子と一緒になって遊ぶような活発なタイプでした。大阪で生まれ、中学時代からモデル業を始めましたが、ベースは粉もの文化の根強い大阪で、3人兄弟の長女として天真爛漫に育った女の子という感じ。一方で、小学生の時に「にがり」が健康に良いというテレビ番組を見たら、お小遣いを貯めて豆腐屋さんへにがりを買いに行ったり、両親の影響で酵素を飲むようになったり、そんな一面もありました。

20歳の時に拠点を東京に移し、モデル業を本格的にスタート。交友関係が広がっていた頃、あるランニングチームとの出会いがターニングポイントのひとつでした。自分としても身体の変化を見つめ直し何か運動をやりたいと思っていたタイミングで、走ることを始めました。そしてそのランニングチームが縁となり、もともと顔見知りだった夫との交際をスタート。それが2018年の話です。彼と出会った時、ルールや形式に囚われずに自分の好きなことを貫いている姿を見て、この人と一緒にいたら人生がもっと楽しく、自由で無限の可能性があるように感じられるだろうなって思いました。マインドやライフスタイルも同じ方向を向いていて、それから3年後の2021年に結婚したのはとても自然な流れでした。

ー2022年、ハワイでの水中出産を決断
献身的、手厚くサポートしてくれるミッドワイフとの運命的な出会い

そして昨年の10月に男の子をハワイ島で出産。妊娠する前から漠然と水中出産をしたいという思いがありました。水中出産は、赤ちゃんが羊水から水に出てくる時に抵抗なくスムースに出てくることや、赤ちゃんも母体もリラックスして分娩できるということを聞いて、ミッドワイフ(助産師)と家族とのプライベートな空間でより自然にお産ができることに惹かれました。夫もあっさり「いいね」と共感してくれて。

妊娠初期、身体や心の変化について振り返ると、まずは悪阻がキツかったことを思い出します。妊娠が分かってから3ヶ月くらいは何もできず寝たきり。眠いし辛いしでずっと家にいて、卵やお肉を身体が拒絶するようになり食べられる物もフルーツだけでした。同時に添加物の入った食べ物に反応するようにもなってしまい、そういったものを摂った翌日は1日寝込んでしまうこともありました。大変な中でも自分の身体について気づきや発見のある3ヶ月間でしたね。

悪阻が少し楽になってからは産む場所とあわせて、出産を全面的に手助けしてくれるミッドワイフ探しを開始。夫の名前「LONO(ロノ)」はハワイにルーツがあり、平和の神様の名前と同じなんです。子供も彼の名前を継ぐので、それならハワイで出産をして縁を紡ぐのもいいなって。ちょうど同時期にハワイ島で住む場所を貸してくださる方と出会えたこともあり、引き寄せられるように話が進みました。 

出産予定月の3ヶ月前にあたる7月に、生活する環境の下見と、ミッドワイフとの顔合わせを兼ねてハワイ島を訪れました。私たち夫婦は共にこの時が初めてのハワイ島だったのですが、ミッドワイフとの出会いは特に印象的でした。

彼女にぎゅーっと強くて温かいハグをしてもらい、一気に信頼感が増しました。そして彼女の妊婦さんと出産に対する愛情深さ。どんなことでも細かくメモを取ってくれたり、パーソナルに接してくれる姿勢も誠実に感じました。実はその時お腹の子が逆子だったんです。でも「全然問題ない。命が生まれる時は生まれるから。」と言ってくれたこの人なら、大丈夫だって確信したのを覚えています。

そして一旦帰国して再度9月にハワイ島へ渡りました。ミッドワイフには日本からも赤ちゃんの状態を伝えていましたが、ハワイ島へ行ってから出産までは週1回、2時間くらいいろんな話をしてくれました。場所は家だったり、彼女のオフィスだったり、ビーチや行きつけのカフェだったり。そこで普通の会話をしながら、生まれてくる赤ちゃんの状態や母体の話、実際に陣痛が来た時やその後どうなるかなども、夫を交えて分かりやすく話してくれました。その時間があったことで、ママだけが頑張って産むのが出産という感覚ではなくなっていけたのはとてもよかったです。あとはハーバリストでもある彼女お手製のプレグナンシーティー(ハーブは主に自家製のもの)やバーム、エッセンシャルオイルを使ってケアしてくれていたのもとても心地よくて。産後は、赤ちゃんに対しても同じようにケアしてくれました。

ー出産目前には、イルカと一緒に泳ぐハッピーな体験も

予定日の1週間ほど前、もういつ生まれてもおかしくないということで、自宅のリビングにプールを準備していました。そんな状況の中、やりたいことの一つだった、妊娠中にイルカと泳ぎたいという想いを抱えていました。妊娠しているとイルカが寄ってきてくれるという話を聞いたことがあったからです。それをミッドワイフに話すと「○○なら、イルカと泳げると思う」と教えてくれて、早速その場所へ行ってみたんです。時刻は早朝5時ごろ、ビーチへ行くと遠く沖の方にイルカたちがジャンプしているのが見えて。そこにはマイクさんというおじいさんが1人いて、私を見て「妊婦さんだ!」と喜んでいて(笑)。彼が「今日は、ドルフィンベイビーが見れるかも!」ってどんどん沖まで泳いでいくので、夫と私も着いて行ったんです。そしたら子供のイルカも含めて40頭くらい、たくさんのイルカが私たちの近くまで来てくれて。そうなると鳴き声も歌っているように聞こえるんですよ。まるで祝福されているかのようで、とてもハッピーなひと時でした。

ーとても穏やかな水中出産と、不便だからこそよかったハワイ島での日々

予定日の朝、生理痛のようなお腹の痛みを経て陣痛が来て、その日の夜に息子を出産しました。陣痛が1分間隔になってからミッドワイフが来てくれたのですが、部屋では夫がこの日のために作ってくれたプレイリストがずっと流れていました。私はというと、ずっと裸でうろうろしていました。辛くなったらシャワーで腰を温めたり、楽な姿勢で寝転んだり、太陽の光を浴びたり。その間、栄養補給のために夫やミッドワイフがフルーツを切ってくれたり、ココナッツウォーターを飲ませてくれたり、一番落ち着く空間で家族とリラックスして過ごしながらその時を迎えました。

生まれる時は、プールの水中に自分で腰を落として、私が自分の手で子供を水の中から引き上げました。胎盤が出てからもすぐにへその緒を切らず、1時間ほど初乳を飲ませながらベッドで横たわって過ごしました。へその緒はその後、夫とミッドワイフがろうそくの火で切ってくれて、その炎を私が吹き消して「ハッピーバースデー!」となる。やっと会えたという感慨深さ、赤ちゃんの柔らかさに驚き、終始感動しながら、たくさんの感情が込み上げて来ましたね。

(写真)へその緒をロウソクで切る瞬間

胎盤は、母体と赤ちゃん両方の身体と心に有効な栄養があるそうで、後にミッドワイフがラボに持ち込みサプリにしてくれました。産後もミッドワイフは頻繁に検診に来てくれて、食材や日用品の買出しや私と赤ちゃんの心身のケアなど、常にサポートしてくれて家族のように過ごせたのは心強かったです。

その他にもいろいろと振り返ってみると、産後ハワイ島で過ごした3ヶ月間は本当に貴重な時間でした。家族だけで大自然の中で子育てに向き合って過ごせたのもとてもよかったです。便利なものはなく、買い物もローカルのスーパーで手に入る限られたものだけ。ただ、外へ出かければ人々が優しくて、地元コミュニティーから分け与えてもらうご飯は温かい。そんな環境がストレスフリーで過ごせた理由の一つだと思っています。

(写真:左から)ミッドワイフがブレンドしてくれたハーブティーと瓶詰めされた胎盤サプリ、イルカと泳ぐ際に導いてくれたマイクさんからもらったイルカのクリスタル、ハーブオイル屋さんが「パートナーにお腹に話しかけてもらいながら塗ってもらってね」と言って突然くれたというオイル。全てハワイでの思い出や時間が凝縮されたMaoさんのお守り。

ー帰国した今、考える子供との未来や命の迎え方について

帰国後はジュースバー「COSMOS JUICE TOMIGAYA」の立ち上げ準備などで忙しく過ごしていて、気づけばもうすぐ息子が1歳になります。今の時点で子供に対して、ああしたい、こうしたいという具体的なことはありませんが、小さなうちから自然と触れさせたいと思っています。そして息子が生まれたハワイ島とのつながりも親として大切にしていきたい。私が水中出産を選択したのは、できるだけ自由でナチュラルな形で、出産までの過程も含めてより自分が責任を持てる形で子どもを産みたかったというのがあります。息子には、いつか出産に立ち合いサポートしていく側になるかもしれないことを考えると、命が生まれることの深さやそれが奇跡であることをちゃんと感じられる人になって欲しいなとも思います。

そして産前から産後まで、ずっと見守っていてくれたミッドワイフが私に対して、アドバイスやサポートをしながらも、絶対に何かを決めつけたり、誘導したり、こうすべきとは言わなかったんです。あくまで私自身が道筋を作って、私がやりたいようにやってくれた。日本ではまだまだポピュラーではない水中出産や自宅出産ですが、妊娠・出産・子育てに関する考え方や選択肢、どうしたいかは人それぞれであり、自分自身で選べるんです。私自身がとても奇跡的でいい時間を過ごせたので、そんな方法もあるということはをいろんな人に知って欲しいなと思います。

■ Mao Brazil/HARVEST SPOONFounder、COSMOS JUCE TOMIGAYAOwner

大阪生まれ。モデルとして活動する傍ら、2018年にケータリングサービス『BAD BAD NOT FOOD』を立ち上げる(現在、休止中)。2021年にヘルスケアブランド『HARVEST SPOON』を創立。2023年には富ヶ谷に国産無農薬野菜を使って作るジュースバー『COSMOS JUICE TOMIGAYA』をオープンさせる。
HP: HARVEST SPOON   
instagram: @maointhepark @cosmosjuice_tomigaya

Photo : NISHITANI KUMI (No.1,10) / Mao Brazil  (No.2-9)       
Text&Edit : Wakako Matsukura
Location:COSMOS JUICE TOMIGAYA

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