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優しさの連鎖が叶えるポジティブな循環/木津明子さん

自身のライフステージの変化をきっかけに、こどもの未来を明るく照らすようなコミュニティーを作りたいと一念発起し、地元である横浜市に「こども食堂 レインボー」をオープンしたスタイリストの木津さん。仕事に育児に、こども食堂の運営にと忙しい日々を送りながらも、彼女の周りはいつも明るくてハッピーなムードで溢れている。そんな木津さんが思い描く地域を巻き込んだ新しい取り組みと、そこで生まれたポジティブな循環の可能性について話をお聞きました。

「自分の不安=世の中の不安」と思ったことが行動の始まり

ー「こども食堂レインボー」を始めたのは、木津さんがシングルマザーになったことがきっかけだとお聞きしました。

木津:はい。区役所で児童手当など子ども関連の説明を受けたとき、なんとなく分かってはいたんですけど、改めてひとり親の過酷な状況を知ってショックを受けたんです。子どものためにも仕事は頑張りたいけれども、頑張るほど負担が大きくなるのが現実なんですよね。あまりにもびっくりし過ぎて「本当にみなさんそれでやっているんですか……!? 」と聞き返してしまったほどです(笑)。それで、その帰り道に「なにか自分にできることはないかな」と思って、こども食堂(※)をやることを決意しました。

※こども食堂とは、子どもやその保護者、地域の住民に対して無料または低価格で栄養のある食事や温かな団欒の場を提供するために生まれた社会活動。

ー自分の生活に不安を感じたタイミングで、逆に視野が広がったという部分が興味深いです。

木津:その時に自分が感じた不安から、子ども達の未来、日々の食事など、今までずっと気になっていたことに向き合う時が来たんだなと思いました。周りからの影響も大きかったですね。今はレギュラースタッフとしてこども食堂の活動を支えてくれているメンバーの話なんですけど、「+IPPO PROJECT」(※)という活動をやっている友達がいて。私はそのプロジェクトの「一歩踏み出す」という姿勢にすごく感化されたんです。昔の自分は怖かったり、悲しかったりするニュースがあると、つい目を逸らしたくなってしまうようなところがあったんですよね。でも「ちゃんと自分の目で見て、進んで行かないといけないよね」と改めて思わせてもらったし、背中を押してもらいました。

 ※ファッション業界をベースに活動する女性3人が始めたプロジェクト。児童養護施設などを巣立った人たちのその後を支えるアフターケア相談所と手をとり合い、ファッションの持つポジティブな力をもとに、さまざまな形で社会問題につなげる活動をする。 

―様々な選択がある中で、こども食堂を選んだ理由はありますか?

木津:私自身、元々料理をしたら多めに作って「食べに来る?」と周りの人に声をかけるようなタイプで。今でも近所に住む両親にはよくご飯を作って持って行きます。私の母はすごく褒め上手で「あっこ(木津)は仕事もこんなに頑張っているのにちゃんと育児もして、ご飯まで作って偉過ぎる〜!」とか、こっちが嬉しくなる言葉をかけてくれるんですよ(笑)。料理も好きだし、人に喜んでもらえるのも好きなので、自然とたどりついた形なのかなと思います。

―ゼロの状態からこども食堂をオープンするまでにはいろいろとあったと思いますが、どのように体制を整えていったのか教えてください。

木津:場所が決まってからは色々と早かったです。私はあまり建設的に物事を考えるタイプではないので、周りの人に助けてもらいつつ、準備を進めていきました。とにかく初めてのことだらけだったので、まずは体当たりじゃないですけど、場所を探すところから始めました。その結果、洋光台の町の窓口「マチマド」さんにレンタルスペースを借りることになり、そこでのやり取りをきっかけに現在のスペースを紹介してくれたUR新都市機構の方ともつながることができました。そして地域ケアプラザの方もこども食堂ができるのを喜んでくれて、近隣の学校に代理で手紙を出してくださったり、いろいろサポート体制を整えてくれましたね。地域の協力体制があったのは大きかったです。あとは友人達の心強い協力に支えてもらいました。みんなそれぞれに仕事や家族のこともあるのに、事前の準備からお店の運営まで喜んで力になってくれて本当にありがたかったです。最初は「全部一人でやるぞ!」と意気込んでいたんですけど、それは到底無理な話でした。

(写真)こども食堂レインボーの様子

―準備期間とオープンしてからで心境の変化などはありましたか?

木津:実際に始めてからの方がいろいろ感じること、分かることが多かったです。初日を終えて、まずは自分の意識をガラッと変えていかないとだめだと痛感しました。最初は「救ってあげたい」という気持ちから始まったんですけど、その考え方自体が大きな間違いでした。本当に必要な人に食べに来てもらいたいという思いがあったので事前にあまりアナウンスをしていなくて、初日はお客さんが少なかったんですよね。チラシを駅前に配りに行った時に感じたことは、楽しくて明るくて、ポジティブな循環が生まれる場所づくりをしていかないと本当に届けたい子どもたちにまで届かないなということ。それに食堂と名前がついているからには活気も必要だなって。今振り返ると、その時の気づきはとても重要でしたね。そこからみんなで方向性をしっかり意識して軌道修正できたことが今のこども食堂に紐づいているんじゃないかと思います。

間口を広げることで、あらゆる人につながる場所を作りたい

―その意識の部分についてもう少し詳しくお話していただけますか?

木津:こども食堂に対して“後ろめたい”というイメージを持つ人って多いと思うんです。ビラ配りをしている時にもそれをすごく感じました。好意的に受け取ってくれる人ほど「素敵なことですね。でも、うちは大丈夫です」って言うんですよ。「だって、困っている人が利用する場所なんでしょ?」と。そのたびに、きちんと私たちが考えるこども食堂の話をするようにしています。人からちゃんとしているように見られたい、という気持ちは私にもあるし、すごく理解できるんです。でも、ひとり親に限らず、子育てをしている人って毎日すごく大変じゃないですか。だから子どもたちだけではなく育児に関わる全ての人たちにこども食堂に来て少し楽をして笑顔になって欲しいんです。そこで心に余裕が生まれたら周りにも優しくなれるかもしれない。そうやって優しさの循環を作るきっかけになりたいんです。まずは子ども達にお腹いっぱいになって幸せになってもらうのが第一ですが、それに限らずいろんな人が普通に利用して、明るくて楽しい場所として定着していって欲しい。間口が広がることで、少しでも多くの人の気持ちを補うことができればという思いでいます。

 ―仕事や家庭があっての活動ということで体力面でもかなりハードかと思いますが、原動力はなんですか?

木津:体力の話だけでいったら結構ハードです(笑)。でも、なんか毎回終わった後にすごく元気になっているんですよね。これは私だけではなくスタッフ全員が共通して感じていることみたいです。とにかく終始みんながよく笑っているんですよ。子どもたちからもらうエネルギーは本当にすごくて、どんどん元気になる!慌ただしい日々ですが、みんなそれぞれ意欲的に楽しんでやっています。

―「こども食堂レインボー」はInstagramでの発信も積極的に行なっていますが、反応はどうですか?

木津:発信はできるだけこまめにしようと頑張っていて、その手応えも感じています。私たちはオンラインショップでの支援チケット販売と銀行振込を通じて支援金を集めているんですけど、「SNSで様子を見ていると何をしているか明確に分かるから、支援したくなる」というような声をもらうことが結構あります。なので、引き続き発信することも頑張っていきたいです。ただ、ファッション業界は福祉に対してまだまだ消極的なところが多いなとも感じます。だからこそ両方の立場が分かる自分ができること、ファッションと福祉という一見異なるものを組み合わせることで生み出される新しい可能性についてこれからも考えていきたいです。

―今後の目標はありますか?

木津:近い目標としてあるのは、定期賃貸できるスペースを確保することです。拠点を確保することで食べること以外のコミュニケーションの場が作れるかもしれないし、もっといろんな可能性が広がると思うんです。食事と教育が一緒にできる寺子屋のような場所にすることが理想です。あとは永く続けていきたい。でもこれらを実現するためには、何よりも安定した資金の調達が一番の課題です。急にすごく現実的な話になってしまうんですけど(笑)、これが本当に大真面目な話で! 来てくれる人、手伝ってくれる人、支援する人、みんながもっとフェアになるためにはやっぱり避けては通れない問題だと思います。以前仕事で関わるモデルさんや女優さん、ブランドさんに売上の一部を寄付して頂いたことがあるのですが、もっとこういったタッグをいろんな企業に呼びかけてやっていきたいです。地域密着型で、こども食堂を中心に地域のコミュニティーみたいなものを作ることができたら、子供を守りながら雇用も生み出せるんじゃないかって思うんです。そんな理想的な循環を可能にするビジネスモデルを作ることができれたら、全国展開だって夢じゃないですよね。そんな未来に備えて組織も法人化しています。夢は大きく!でもまずは今できる目の前のことに向き合って、地元の洋光台で頑張りたいです。 

■ 木津明子 / スタイリスト

ファッション誌や広告、著名人のスタイリング、ファッションブランドとのコラボレーションなどで幅広く活躍中。2020年より、月に2回「こども食堂 レインボー」主宰する。プライベートでは2児の母。

HP:こども食堂レインボー公式サイト
instagram:@kodomorainbow
                    @akikokizu66
                    

Photo : Ryu CakinumaTRON)
            こども食堂レインボー (No.5,8-9)   
Text&Edit : Asa Takeuchi
Location:RORO by 枝比呂子

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