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COMMUNITY

直感に従ってハーブを自由に愉しむ ー国際女性デーを祝して「女性性」を愉しむハーブティーをプレゼント&ブレンドレシピ公開ー

3月8日の「国際女性デー」は、女性の権利を守り、ジェンダー平等を目指すために1975年に国連が定めた記念日です。シシフィーユでは国際女性デーを祝し、SISIFILLEオンラインストアでお買い物いただいた先着50名様に、コミュニティハーバリストPai Miyuki Hiraiさん監修のオーガニックハーブティーをプレゼントします。  「女性デーといっても、性別としての“女性”だけを対象にするものではないと思う」と語るのは、サンフランシスコに暮らすPaiさん。女性たちに感謝の気持ちを表すのと同時に、性の多様性にも目を向ける日だと捉えているのです。「性はグラデーション」と言われるように、性のあり方は人それぞれに違うもの。また、誰しもが男性性、女性性の両方を持ち合わせていて、人を「男だから、女だから」というようなステレオタイプに当てはめることにも無理があります。 「自分の子どもを見ていると、私たちの子どもの頃と違ってジェンダーをニュートラルに捉えていると思う」と言うPaiさん。次世代の子どもたちへジェンダーギャップのない未来を渡すために、わたしたちができることはなんだろう。国際女性デーとは、そんな問いに想いを巡らす日でもあるのかもしれません。 「女性性」をイメージしたPaiさんのハーブティーPaiさんからのメッセージ ーハーブティーに込めた想いー “風の時代”が到来して、女性性のエネルギーが強くなるなんて聞くけれど、家父長制的なシステムは本当に終わりを迎えると思っています。特に日本では、女の人が前へ出たり、自由奔放でいることを嫌う風潮がまだ残っているように感じますが、これからはもっと女性がリードしていく時代。女性性のエネルギーが高まることで、世の中は大きく変わっていくと思うんです。 今回はそんな願いを込め、「女性性」をイメージして精神的にも視覚的にもリラックスできるハーブをセレクトしました。また、手に入れやすいハーブで誰もが再現できるレシピなので、植物の存在を身近に感じるきっかけとしても楽しんでいただけたら嬉しいです。 ーブレンドレシピー -ホーリーバジルヒンドゥー教では女神ラクシュミーの化身とされ、聖なる植物として崇められている。抗菌作用があり、エイジングケアや、免疫機能と新陳代謝の向上に。 -ローズ女性と関わりの深い植物のひとつ。ホルモンバランスを整えてくれるので、PMSや更年期障害など、生殖器系に関わる不調に。抗炎症、鎮静作用がある。 -カレンデュラ代表的な万能薬。月経不順に対する薬として昔から重宝されている。成分のひとつであるフィトステロールは女性ホルモンに良く働きかける作用がある。また免疫を高めてくれるので、風邪の予防にも良い。  -レモングラス疲れた心を癒し、気分をリフレッシュしてくれる。抗菌作用があり、また消化を促進してくれるので胃腸のもたれにも効果的。 -ミント清涼感のある香りで、リラックスさせてくれる。ミネラルが豊富。胃腸の調子を整えてくれる。 ー飲み方ー マグカップで飲みやすいようにティーバッグタイプにしています。あたたかいお湯でも、水出しでも。水出しにするとハーブのエキスがゆっくりと抽出され、まろやかな味わいを楽しむことができます。お湯 or 水の量を調整してお好みの濃度でお召し上がりください。  ※アレルギーをお持ちの方はブレンドしているハーブにご注意ください。※妊娠中・授乳中・お薬を服用中の方は事前にお医者さまにご相談の上お召し上がりください。 (写真)Paiさんが暮らすサンフランシスコベイエリアのコミュニティーガーデン。収穫されたハーブや野菜がドネーション制でシェアされている。 “Herbal medicine for all”「ハーバルメディスンはみんなのもの」 Pai Miyuki Hirai / コミュニティーハーバリスト...

# COMMUNITY# ORGANIC

つながる場所があるということが支えになる / マアル代表 櫻木直美

 広島でオーガニックコットンの肌着を展開する「marru(マアル)」。「まあるくつながろう」という願いが込められた名前の通り、ブランドの、そして櫻木さんの想いに心を寄せる人たちがやさしくつながり合いながら営みを続けてきました。「マアルさんの拡がりこそがコミュニティそのものだと思う」と語るシシフィーユ・ブランドコミュニケーターの本田が、マアルを紡いできた想い、そしてコミュニティについて、代表の櫻木直美さんに話を聞きました。 ―母と娘、アトピー性皮膚炎の発症からすべてが始まった 本田:マアルさんは、立ち上げ当時から私たちのプロダクトを取り扱ってくださっていて、長年に渡ってシシフィーユを見守ってくれています。そもそも櫻木さんがマアルを始めるきっかけは何だったのですか?  櫻木:長女が赤ちゃんの時、重度のアトピー性皮膚炎を発症したんです。その数年後、なんと30歳を過ぎて私もアトピーになってしまって…。治したいという気持ち一心で衣食を見直す中、黄砂や花粉などの環境的な要因にも身体が反応していることに気がつきました。では、なぜ黄砂が飛んでくるのかと調べてみると、森林減少や土地の砂漠化といった人為的な影響があることが分かったんです。つまり、地球への配慮が欠けた私たちの行動が、結果的にアレルギーで苦しむ人たちを生んでいる。これって、因果応報ですよね。でも、子どもたちには何の責任もないじゃないですか。素直に申し訳ないなと思いました。 本田:環境問題だけでなく、食べものや流通の仕組み、自然療法などに関心を持ったのもこの頃ですか?  櫻木:そうですね。アトピーがきっかけとなって、暮らしの根本を見直そうといろんなことに興味が広がっていき、次の世代に負荷がかからない生き方をしたいという思いで友人と始めたのが「エコママン」です。周りのママ友に布ナプキンを配ったり、マイ箸袋を作ってフリマで販売をしたりということをしていました。趣味の延長のような活動でしたが、徐々に忙しくなってきたこともあり仕事にすることにしたんです。それが「マアル」の始まりです。 (写真)マアルの実店舗「素 sou」 ―どうしたって、マアルを続けたくって仕方なかったそれほどまでに何かをしたいと思ったことは人生で初めてのことでした 櫻木:個人事業としてマアルを開業したものの、利益はほとんどなく、数年は自転車操業でした。実はマアルを立ち上げて一年後に離婚をしたんですよ。子どもをふたり抱えているし、周囲は当然就職先を探すだろうと思ったようですが、私には全くそのイメージが湧かなかった。どうしたって、マアルを続けたくて仕方なかったんですね。それほどまでに何かをしたいと思ったのは人生で初めてのことでした。心配する両親には「三年後に食べていけるようになっていなかったら諦めるから」と伝え、実際にちょうど三年ほど経った頃になんとか法人化することができたんです。 本田:立ち上げ当初からある体を締め付けないマアルのオリジナルショーツは今では看板商品となっていますが、当時はまだ目新しいものでしたよね。なぜショーツをつくろうと思ったのですか?  櫻木:私はかゆみ対策として蒸れないショーツがほしかったし、足の浮腫みに悩んでいたママ友は、ふんどしパンツという締め付けのないものを履くとすごく楽になると言っていて。そういう鼠蹊部やお腹周りを締め付けないパンツがほしいねということでつくったのが、新月ショーツと満月パンツでした。 (写真)マアルの代表的アイテム「新月ショーツ」 本田:マアルさんのオリジナルプロダクトは、糸に至るまで全て厳選されたオーガニックコットンでつくられているのも特徴ですね。 櫻木:そうなんです。アトピーになって衣類は綿素材のものを選ぶようになりましたが、一口に綿といってもかゆみがでるものがあれば、でないものもあるんです。たとえオーガニックのコットンであっても、生産の過程で化学薬品を使うことがあって、それがかゆみの原因となってしまうことがあるんですね。たくさんの生地を試す中で出合ったのが、製造過程で有害な化学物質を使用していないオーガニックコットンでした。 本田:櫻木さんご自身の体験や身近な方の声が、気持ちのいいショーツの形や素材選びにつながっているのですね。 櫻木:そうですね。また、気持ちいいパンツであるためには、フェアトレードのコットンであることも大切な要素だと考えています。子どもたちに産地やその背景について聞かれた時に、胸を張って説明できるものでありたい。心地いい生地、心地いい肌着を選ぶことは、原材料を栽培する人々の暮らしともつながっていると思うんです。 (写真)マアルのオリジナル布ナプキン ―そこには心が通う人たちがいるということそういう存在があると知っているだけで支えになる  本田:マアルさんは、プロダクトだけでなく、人とのつながりが豊かですよね。エコママンでのママたちのコミュニティがマアルにつながり、今もマアルが人と人をつないで拡がっていて。 櫻木:下着を使う人、原料を育てる人、生地を作る人、販売する人…、いろんな人たちの輪の中にマアルはあると考えています。創業から13年が経ちますが、つながっているという実感が伴っていて、マアルという名前にして本当に良かったと思っています。 本田:私生活で落ち込む時期があっても、ずっとマアルに没頭することができたのはその実感があったからなのでしょうか? 櫻木:その通りだと思います。私はエコママンの時からずっとメルマガを配信しているのですが、たくさんの反応をいただくんですね。私のメルマガは想いが溢れすぎていて少々暑苦しいのですが(笑)、それを受け取ってくださる人たちがいる。お店ではお客さまからリアルなお声をいただきますし、ネットショップでは納品書に書くメッセージに対して、メールでお返事が返ってくることもあります。ネット上のつながりは希薄と言われることもありますが、全くそんなことはない。更年期に突入している同世代の方と励まし合ったり、ママ同士で共感し合ったり、お客さんであってもそういう関係性ができていることはすごくありがたいですよね。だからこそ、今まで続けてこられたんだろうなと思います。  本田:そのつながりこそが「コミュニティ」ですよね。コミュニティって、一方的な押しつけじゃないというのがいいなと思うんです。売り手、買い手の関係を超えて、共通の価値観でつながることができる。対等になれるんですよね。肌や生理の悩みを持つ人がマアルさんのプロダクトを手にし、その魅力をまた別の人に伝えて、とじわじわとコミュニティの輪が拡がっていく。悩みや想いを共有できるからこそ、強いつながりが生まれるのでしょうね。 櫻木:マアルを始める前、子育ての価値観が近しい人を身近に見つけるのが難しかったんですが、天然のものを大事にしていたり、自然に沿った子育てをしているママたちのコミュニティがあって、そこへ行くとすごく気持ちが楽になりました。離婚やアトピーに苦しんだ時は周りの人たちに支えられたし、共に支え合えるという関係性が楽しかったんです。私はひとりでいることも好きなタイプなので、いつもそこにいたいというわけではないのですが、ふと気が向いて行くとそこには心が通う人たちがいるということ。そういう存在があると知っているだけで支えになるんですよね。 本田:よく分かります。そのコミュニティの存在があるからこそ、ひとりを楽しむことができる。私もひとりでいることも集うことも好きですが、その心地よいバランスはみんなそれぞれ違うものですよね。リアルな場でもオンラインでも自分のタイミングでふらっと立ち寄る場所があることはすごくありがたいことだなと思います。  櫻木:そうですよね。今、月に一度助産師さんに来ていただいて、「添うの場」という無料個人相談会をやっているのですが、これが最高なんですよ。妊娠、出産のことに限らず、更年期や不正出血などどんな悩みを話してもいいし、どんな世代でもウェルカムな場所。みんなとシェアしたい映画を上映する「マアルシネマ」もそうですが、これからもそういう場所作りを続けていきたいなと思っています。滞在型でリトリートできるような場所をつくれたらいいな、とぼんやり想像してみたり。私、女の人たちがリラックスして楽しそうにしているのを見ることが大好きなんです。みんながほぐれて、元気でいる姿をずっと見ていきたいですね。  ■ 櫻木直美 / マアル代表取締役...

# COMMUNITY# FAIRTRADE# ORGANIC# ORGANIC COTTON# PERIOD# フェムテック

受け取ったバトンをつなぐ ー 産地の声をユーザーに伝えていくことー / パノコトレーディング取締役・SISIFILLEブランドマネージャー三保真吾

オーガニックコットンのリーディングカンパニーであるパノコトレーディングに身を置いて15年以上になる三保さん。オーガニックコットン業界では世代交代の波が訪れ、三保さん自身もその流れのなかにあります。先代からバトンを受け取って走り出そうとする今、そのバトンを未来へどうつないでいくのか。オーガニックコットンの産地であるペルーやタンザニアを実際に訪れて感じた想いを伺いました。 (写真)見渡す限りオーガニックコットンが広がるタンザニアの畑。 ー産地への訪問で、これからの課題や役割がクリアになりました ー オーガニックコットンを取り扱い始めて30年になるパノコトレーディング。これまでどのようなことにこだわって事業を行ってきましたか。 三保:この事業を始めた1990年代初頭は、“オーガニックコットン” という言葉って日本ではまだほとんど認知されていませんでした。生産量も少なく、クオリティもずっと低かった。でも、その頃から辛抱強く続けてきたからこそ、早い段階でいいサプライヤーに出会うことができたんだと思います。ペルーやインド、タンザニアなどの農家さんからオーガニックコットンを買い付けている私たちのパートナー企業は、業界内においてそれなりのポジションにある。世界中に存在する多くのサプライヤーのなかでも、歴史と信頼のある企業だけからオーガニックコットンを仕入れることが私たちのこだわりであり、強みにも直結しています。 ー ペルーやタンザニアを訪問し、実際に現地を見ることで、どのようなことを感じましたか。 三保:これまでも会社としては定期的に産地訪問を行ってきましたが、私自身がペルーとタンザニアを訪れたのはいずれも今回が初めてでした。実際に行ってみると、現地の人たちの情熱や熱量みたいなものをすごく感じましたね。農家の方々はもちろん、我々が直接やりとりをしているパートナーの現地スタッフもしかり。彼らの姿勢を目の当たりにすると、オーガニックコットンの価値をきちんと伝えて広めていかなければという思いがより強くなりました。そして、このつながりを築いてくれた現社長たちに対して、私たち世代に素晴らしいものを残してくれたという感謝の気持ちが深まりました。 (写真)ジニング(綿から種を取り出す作業を行う)工場にある保管庫に原綿が運びこまれる様子 ー 「世代」というワードが出てきましたが、パートナーであるペルーのBERGMAN RIVERA(バーグマンリベラ)社や、スイスのREMEI(リーメイ)社、そしてインドとタンザニアにいるREMEI社の現地責任者たちもちょうど代替わりをしてきているんですよね。三保さんと同じ世代の方々がそれぞれの責任者になっている。 三保:そうですね。パートナー企業も2代目に世代交代していますし、近い将来、私もこの会社のバトンを受け取る立場にあります。それぞれ、受け取ったバトンを丁寧に持って走り出しているのですが、時代の流れに応じて変えていかなければいけないことや、改善していかなければいけないことが当然出てきていて。今回の訪問で、その課題や私たち世代の役割がよりクリアになったと感じています。 ー産地を訪れるというよりは、仲間に会いにいく感覚です ー ペルーには2019年に訪問したそうですが、SISIFILLE(シシフィーユ)とペルーはどのような関係性なのでしょう。 三保:シシフィーユでサニタリーショーツなどに使用している、やわらかく滑らかな肌ざわりの「ピマコットン」というコットンがあります。コットンにもいろいろな種類があるのですが、繊維長の長い「超長綿」のルーツはペルーにあり、なかでもピマコットンは希少価値の高い、世界最高峰の超長綿なんです。そのピマコットンを扱う現地のパートナー、BERGMAN RIVERA社の社長は、2代目のオーランドさん。先代が立ち上げた南米初のオーガニックコットンプロジェクトを引き継いで運営しています。    Your browser does not support our video. (動画)ペルーの畑でピマコットンを収穫する農家の方 ー...

# BACKGROUND# BIORE PROJECT# COMMUNITY# FAIRTRADE# ORGANIC COTTON# RELATIONSHIP

強さこそがやわらかさを生み出してくれる ―グラフィックデザイナーがシシフィーユに宿したものー 田部井美奈さん

―従来の市販品にはない、家でもそのまま置いておきたくなるようなパッケージデザインの生理用ナプキンを作りたいー。2015年のシシフィーユ誕生時、その思いを形にしてくれたのがグラフィックデザイナーの田部井美奈さんでした。リニューアルにあたって一新されたビジュアルもすべて彼女の手によって生み出されたもの。シシフィーユのフィロソフィーを熟知した田部井さんと、当時企画を担当していた本田(現ブランドコミュニケーター)がデザインのこと、コミュニティに対する思いなどを語りました。 ―製品のクオリティに自信があるからこそ、パッケージの遊び心は重要だった(本田)―信頼できる良いプロダクトとして脈々と浸透していると感じた(田部井) 本田:田部井さんには、シシフィーユ立ち上げ時よりブランドロゴをはじめ、プロダクトのパッケージやリーフレット等のデザインをすべてお願いしてきましたが、最初のパッケージは生理用ナプキンでしたよね。 田部井:お話を頂いた時は、本当に良いもの、素敵なものを作りたい、という思いを持って依頼してくださったことが嬉しかったですね。実際のプロダクトも張りぼてではなく、丁寧にこだわって作られていて。これまでにないものを作るんだ、という感覚があったのを覚えています。 本田:製品のクオリティに自信があるからこそ、パッケージの遊び心は重要だと考えていたんです。実際に、シンプルで洗練されたデザインでありながら存在感のあるパッケージにしていただいて、家ではインテリアの邪魔をしないし、展示会やショップではディスプレーとしても映えるし、「こういうものが欲しかった」と好評の声をたくさんいただきました。 田部井:不要な要素は極力削って、「女性的だけれど、強さがある」、そんなイメージを持ってデザインしました。あれから何年も経ちましたが、いろんなところで製品を見かけるようになりましたよね。信用できる商品として紹介されているSNS投稿や記事を度々目にしながら、良いプロダクトとして脈々とみなさんの中に浸透しているのだなと感じています。 ―誕生から7年が経ち、生まれ変わったシシフィーユ。新たなデザインに込められた思いとは? 2022年、新たな舵を切ったシシフィーユ。ブランドコンセプトのリニューアルに伴い、ビジュアルデザインを一新することになり、田部井さんにはパッケージデザインに加え、Webサイトのデザインも担当して頂きました。本田:「SOFTEN THE WORLD. 」という言葉と共に新たに掲げたコンセプトをお伝えした時、率直にどのように受け取られましたか? 田部井:7年前のローンチのときに掲げていた女性らしさ、女性であることというよりも、その人自身の強さ、生き方ということにより焦点が向いているのだなという印象を持ちました。 本田:そうですね。使い手がどう受け取るかはもちろん自由ですが、提案する側があえて対象者を決める必要はないんじゃないかと考えるようになったんです。大事にしたいのは性別ではなく、何かワクワクする気持ちだったり、いいね、かわいいね、っていう気持ちだったり、そういった女性的なマインドの部分。新しいパッケージのデザインではどのようなことを意識されましたか? 田部井:最初は「S」の文字を使って何かできないかと模索していたのですが、だんだんもっと抽象的な表現でいいんじゃないかと考えるようになりました。「多様性」や「ジェンダーレス」というキーワードを噛み砕きながら考えるうちに、少しずつ感覚的になっていって。そして最終的に、「S」を抽象的な形として捉えるというところに行き着いたんです。 本田:デザインに関してはこういうふうにしてほしいと言葉で細かく伝えたわけではなくて、コンセプトに紐づくキーワードとイメージからこちらの意図を汲み取ってくださって。最終的なデザインを見たときに、「これだね!」ってチーム内ですごく盛り上がったんですよ。やっぱりずっと見てきていただいているので、ブランドのことをよく理解してくださっているんだなと改めて感じて、とても嬉しく思いました。新しいWebサイトの全体的なデザインについては、どのような気持ちで取り組んでくださったのでしょうか? 田部井: Webだからこうしなければいけないという固定概念をできるだけ取り払おうという意識がありました。なので、紙物のグラフィックをやるときに近い感覚でしたね。  本田:「らしさ」はあえて意識せず、自分のスタイルでやってみるというのは、新しいシシフィーユ像にも通じるところがありますね。 シシフィーユが思い描くコミュニティ作り。―いろんなコミュニティが輪になり、重なりあって自分が形成されている(田部井)―固執せず、柔軟にいたい(本田) リニューアルにあたってシシフィーユは、オーガニックコットンの「やわらかなプロダクト」として新たにアンダーウエアのラインをローンチ。さらに、シシフィーユの思いに共感を寄せるユーザーの方々と共に「やわらかなコミュニティ」を作っていくことを決めました。本田:シシフィーユの考えるコミュニティとは、ウェブサイトやSNSを通じて様々な人のストーリーに触れて、その思いを分かち合う場所なんです。たとえば、何か思い悩んだときに覗きにいくとヒントのようなものがもらえたり、元気がでたり、誰かにとってそんな存在になれたらと考えていて。個人的にも、日本からアメリカに引っ越して心細かった時、コミュニティの存在に救われたんです。田部井:人には拠り所が必要ですよね。私自身、仕事でもプライベートでも、価値観が近しい人が自然と周りに増えてきて、それほど会話を重ねなくても考えを共有できる関係性はすごくありがたいなと感じています。一方で、もっと外のコミュニティにも触れるべきだなという思いもあるんです。そうすることで自分が身を置くコミュニティをより理解することにもなるし、外に触れることをしないと、自分自身が閉じていくような気がして。 本田:固執せず、柔軟にいたいですよね。例えば、生理のようなプライベートな悩みを友達と話さない人もいると思うのですが、普段接しているコミュニティではそうであっても、シシフィーユのコミュニティの中ではそういった会話に参加できる、みたいなこともありますよね。そういう意味では、コミュニティもいくつか持っているといいんでしょうね。そこを行ったり来たりして。田部井:そうですね。みなさんひとつのコミュニティに属しているわけではなくて、いろんなコミュニティが輪になり、重なりあって自分が形成されているのだと思いますが、その輪を柔軟に開いたり閉じたりできるといいなと思っています。長いこと同じ場所に住んで、同じところで働いていると、同じ思考にならざるをえないのですが、いろんなコミュニティを持つことで多くの世界と触れ合うことができますよね。 柔軟でいるために必要なこととは?―強さこそがやわらかさを生み出してくれる(田部井) 本田:「芯がありつつもやわらかく」ということはシシフィーユの立ち上げ時から今も変わらない信念でもあります。田部井:今回、Webサイト内のモデルカットで起用されていたモデルさんも、やわらかさの中に強さを感じる佇まいがあって、すごくいいなと思いました。新しいシシフィーユ像にピッタリとはまっている感じがして。 本田:私もそう思います。ナチュラルでありながら芯のある雰囲気にすごく惹かれました。 田部井:やわらかさを持つためには、強さも必要だと思うんです。やわらかいという言葉からは、おおらか、やさしい、甘いといったイメージが連想されがちですが、そういうことだけではないですよね。ただ単に全方向にやさしいということではなくて、それぞれが思考し理解した上で相手に接することや、時に言いたいことを率直に伝える強さこそが、やわらかい関係性を築いてくれる。やわらかな世界とはその先にあるのだと思います。 ■ 田部井美奈 / グラフィックデザイナー・アートディレクター ’14年に独立、田部井美奈デザインを設立。広告、パッケージ、書籍などの仕事を中心に活動。主な仕事に『石川直樹 奥能登半島』『(NO) RAISIN SANDWICH』『PARCO...

# BACKGROUND# COMMUNITY

「誰しもにライフパーパスがある」ーコミュニティーハーバリストが伝えたい想いー Pai Miyuki Hiraiさん

共にサンフランシスコに暮らし、互いにリスペクトし合える友人関係だというコミュニティハーバリストのPaiさんとシシフィーユ・ブランドコミュニケーターの本田。幼い子どもを抱えて渡米し、当時心もとない日々を送っていた本田はPaiさんの存在に救われたのだそう。「Paiちゃんとそのコミュニティに愛をたくさん与えてもらって心が満たされた。私たちにはそういう心を寄せ合う場所、コミュニティが必要だと改めて感じるきっかけを与えてくれた人なんです」(本田)。その時の気持ちが「SISIFILE COMMUNITY」の立ち上げにもつながっているのだと言います。普段もPaiさんのカウンセリングを受け、ハーブティやメディスンで心体を整えているという本田が、Paiさんにハーバルメディスンのこと、そしてコミュニティハーバリストとしての想いを聞きました。 ―「ハーバルメディスンはみんなのものなんだよ」っていうことを伝えていきたい 本田:Paiちゃんはフォトグラファーやメッセンジャーを経て、今はコミュニティハーバリストとしての活動が中心になっているけれど、コミュニティハーバリストという言葉自体にあまり馴染みがない人には、どんな存在と言えばわかりやすいかな? Pai:昔でいったらその地域やコミュニティにいたメディスンウーマン(※1)やシャーマンと呼ばれるような人たちのことやね。自然や植物と深くつながって、植物のエネルギーや治癒力を深く理解し、そのお力を貸してもらえる人。患者さんの症状だけを見るのではなく、同じ目線に立って、その人の感情やトラウマなども深く近親的に診断する。その上で、必要な植物を煎じたりしてメディスンを作る。イメージ的には、近所にいる魔女さんみたいな感じかな。 ※1メディスンウーマン: 自然と調和した人間本来の生き方を人々に取り戻す術や知恵を受け継いだ人々のこと   本田:メディスンがもたらす効果だけでなく、コミュニティハーバリストが心や体の状態に寄り添ってくれるということやその存在自体に意義があるなって感じる。何かあった時にすぐに相談に乗ってもらえるというのは、心身が弱った時にとても支えになるよね。私自身、パンデミック中は特にPaiちゃんのカウンセリングやメディスンにすごく救われたし、これからの時代にコミュニティハーバリストのような存在は絶対に必要だなって肌で感じた。そもそもハーブやメディスンにはどうやって出合ったの? Pai:写真を勉強するためにニューヨークに住んでた時、私ビーガンやったんよね。それはなぜかというと、ラスタの人たちと出合って、ラスタファリア二ズム(※2)のこと、彼らの生き方、政治や食べ物、地球、宇宙に対する姿勢にすごく共感できたから彼らと同じビーガンになったの。その時期にハーブを取り入れたりする、ヘルスコンシャスな生活に目覚めた。私はハーブのことって世の中で起きていることとつながっていると考えていて、そこまで深く理解して扱うべきだと思ってるの。 ※2ラスタファリア二ズム: 1930年代に起こったアフリカ回帰などを唱えるジャマイカの黒人による宗教・政治運動。ラスタファリアニズム思想をもつ人たちを「ラスタファリアン」「ラスタ」と呼び、彼らの多くは、菜食主義・自然回帰的 本田:世の中で起きていることとつながっているというのは、具体的にはどういうこと? Pai:例えば、システム化されたレイシズムのことをシステマティック・レイシズムっていうねんけど。女性や黒人、先住民などが社会的に不平等な立場になるようなシステムが社会的な構造に組み込まれてしまっているということ。世の中が一部の人しか稼げない仕組みになっていて、お金がないと良い学校に入れなかったり、良い医療が受けられなかったりとかね。私は、階級の差や貧困、差別の問題があることを子どもの学校を通じて目の当たりにしたんよ。そういう現実に直面して、自分なりに何かできないかと考えている時に、ハーバルメディスンに出合ってん。ハーバルメディスンっていうのは、植物から作られている薬のことで、病気を予防・治療したり、健康を増進したりするために使われているもの。日本でいったら漢方のイメージと近いんかな。お金がないと受けられないような今の医療システムは限られた人のものだけど、ハーバルメディスンはみんなのものなんよ。まだそのことを知らない人たちに伝えていきたいと思ったし、人間の本来の力を引き出す植物の力に魅力を感じて、学校に通ってコミュニティハーバリストの資格を取得したの。 本田:知識は必要だけれど、ハーバルメディスンは身近なもので作ることができるから、みんなに開かれているものだよね。ギバー(人へ惜しみなく与える人)であるPaiちゃんがハーバルメディスンにたどり着いたのは自然の流れだったのだと思う。 ―なんで生まれてきたのか、ひとりひとり目的がある  Pai:ハーバリストというのは、その土地のご先祖様たちにもリスペクトを持ち、植物やその土地の魂にお願いして力を貸してもらう許可を取るの。むやみやたらに採集しないことをきちんと理解している人やねん。資源をみんなでシェアして生きていたネイティブアメリカンの時代と同じ精神。でも今の世の中は、分け合いたくない一部の人たちが社会のシステムをつくって多くの人たちを従わせる構造になっているやんか。でも最近、パンデミックになったことで自分のアイデンティティに目覚めて、世の中の仕組みがおかしいと気づき始めた人が増えてきたよね。だからこそ資源をシェアをしていた頃のように戻して、そこからまた新しい世界を始めたらいいと思う。 本田:Paiちゃんはこれから先、メディスンを通してどういうことをやっていきたい? Pai:もっともっとメディスンを追求していきたい。人生楽しいことが多すぎて、勉強も写真もそうやけど、全うできなかった気がするんよね。でもメディスンのことは生まれ変わってもまたやると思う。みんながなんで生まれてきたのか、ひとりひとりに目的、ライフパーパスがあるの。メディスンを通して、自分が誰なのか、何のために存在しているのか、気づく助けになることを自分の命がある限りやりたいと思っている。それが私の今のライフパーパスやな。全てはエネルギーだと私は思っているから、自分がやりたいと思ったらそうなるし。行きたい方向、ビジョンさえしっかりあれば叶うんよ。 本田:うん、本当にそう思う。心の声に正直に進むことは、自分にとってだけではなくて、実は周りにも良い影響を与えることになるんだよね。Paiちゃんはそれを体現しているし、伝えていく人だと思う。 本田:Paiちゃんの思い描いている未来は?どういう暮らしを想像している? Pai:自分たちのコミュニティをつくって、助け合って生きていきたい。政府に頼らずに生きていける術を持ちたいと考えてる。この先は政府に頼る時代じゃなくなるよ。自分で食べるもの、ハーブを育てて、電気も自家発電して、誰にも頼らない生活をしたいねって旦那と話している。未来はそういうことだと思う。理想と今の生活とはまだほど遠いけど、全てのことには理由があるんよ。だから今私がここに置かれているのは、ユニバースが決めたことなんだと思う。 本田:最後にPaiちゃんにとって「やわらかい世界」とは? Pai:英語で言ったら、レジリエントってことやろ? パンデミックのときによく聞いたワードやね。これからは柔軟性の時代になるよ。想像して、自分が描いたことは必ず形になるの。日々、邪念を抱くこともあるけど、それをはらいながら自分を磨いていくこと。そして自分を知ること。その先にあるのがやわらかい世界なんやと思う。 ■ Pai Miyuki Hirai / コミュニティーハーバリスト 1997年渡米。ニューヨークを拠点にフォトグラファーとしての活動を始める。2001年に帰国し、中目黒にあった「gas-experiment!(後の大図実験)」を拠点に写真家として活動。その後自らもメッセンジャーとして働きながら仲間たちの写真をドキュメントする。2012年に再渡米。現在は母であり、サンフランシスコにて植物と宇宙のエネルギーとつながりながら、コミュニティーハーバリストという肩書きでみんながより良い生活を送るお手伝いをしている。instagram:...

# COMMUNITY# 自分らしく生きる

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